全日本同和会は、同和問題の早期完全解決に取り組む団体です。

【全国・関東東北ブロック】活動報告

【全国・関東東北ブロック】活動報告

人権問題に正しい理解と知識を 令和5年度 女性部全国研修会 開催される

 


 10月17日、京都市で「令和5年度 女性部全国研修会」が、コロナ感染症対策を講じて開催されました。全国各地から女性部会員や役員が参集し、部落差別の解消に向けた研修が行われました。東京都連からは、斉藤女性部長をはじめ14名の女性部員を含む18名が参加。今年度は、関東東北ブロックを代表して東京都連が意見・体験発表を行い、同和問題をはじめ、歴史背景から見る人権問題に対して、意見を述べました。
研修会は、今までのメルパルク京都から会場を移し、京都市南区の京都テルサで開催され、都連からは斉藤女性部長をはじめ18名が参加し、研修に臨みました。
 開会に先立ち司会を務める大阪府連の髙木弘美氏より、十分な感染対策を講じるため、マスクを着用して進行する旨が伝えられ、研修会は始まりました。
 始めに中村幸恵部長が開会の辞を兼ねた女性部長挨拶のなかで、トルコ・シリア大地震やロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによる紛争など、世界中で起きている悲惨な状況を目の当たりにし、何の罪も無い犠牲者が出ていることに、世界中が心を痛めていると述べました。同和問題においては、思い込みや偏見により人を傷つける事象の発生が後を絶たず、部落差別解消推進法が制定されたにも関わらず、罰則規定が無いままの現状を危惧する、そしてこの問題を解決するためには、私たち運動団体が声を上げ、人権問題に対し正しい知識を持つようにすることが求められると、改めて教育・啓発の必要性を訴えました。
 山本康嗣京都府連会長は開催地府連挨拶で、東京電力福島原発による放射能処理水の海洋放出について、SNSを使った事実と異なる情報が拡散され風評被害が引き起こされていること、逆に、大手芸能事務所による性加害問題では、SNSにより情報が拡散され、被害者救済への一歩となったことなど、SNSによる情報伝達の難しさについて語りました。その上で、特に未成年者は家族や友人、学校など、身近な所からの情報への対処が重要であるとした上で、多様化した情報社会の中、話しにくい内容や諦めている問題などを、身近な方へ相談しやすくする環境作りが、いじめや差別の解決に繋がってゆくと訴えました。
 全国会長挨拶の中で松尾信悟全国会長は、同和問題は我が国固有の人権問題であり、これまで問題解決のため特別措置法に基づく諸政策が実施されたことで、生活環境に関する整備は一定の成果を上げ、大きく改善された。しかし、結婚差別や就職差別などでの心理的な面での差別は、今でも根強く残り、近年ではインターネットを使った悪質な部落差別に関する情報が氾濫するなど、人権侵害に繋がる事案が複雑化・多様化してきている、と訴えました。それを踏まえ、人権は人間の持つ権利であり、いかなる関係においても尊重されるべきで、そのことからも同和問題を未解決のまま放置することは決して許されないと訴えました。そして、同和問題早期解決は、国の責務であり国民の義務であるが、真の国民的課題になっていない現状があり、同和問題解決のためには、今一度、人権教育・人権啓発を発展させ、自己の意識を変えてゆかなければならないと、研修会開催の意義を述べました。
 祝電披露では、多くの知事や国会議員より賜った研修会開催への激励の祝電が紹介されました。
 基調講演は、対馬あさみ氏によって「地域の力で孤立を防ぐ〜繋がりあう居場所づくり」をテーマとしてなされました。
 子どもたちの居場所づくりとして食を通じた「子ども食堂」の必要性や、それに伴う現代の見えにくい貧困について語られた。そして今後、社会全体でどのように取り組んでゆくべきか、また一人ひとりの支援の必要性について訴え、講演を結びました。
 研修会後半では、代表県連による意見発表が大阪府連と東京都連によって行われ、自身の人権問題に対する思いが発表されました。
 意見発表の後、松岡久代全国女性部長による総評が行われた後、広岡満喜子全国女性部理事の閉会のことばを以て、研修会は終了しました。
女性部全国研修会の内容は、都連発行機関紙「東京あけぼの」11月号(に収録されています)

開会の挨拶をする中村幸恵全国女性部長

全国会長挨拶をする松尾信悟全国会長

総評を行う松岡久代全国女性部副部長

閉会の挨拶をする広岡満喜子全国女性部理事

会場となった「京都テルサ」